おはようございます。こんにちは。こんばんは。MTです。
本記事では、子供が出来たら必ず加入すべき「死亡保険」の保証額の決め方についてまとめていますので、これから死亡保険に加入しようと考えている方は是非参考にして頂ければと思います。
結論:死亡保険の保証額は下記の3ステップで決めます。
①子供が就職するまでに必要な生活費・教育費を計算
②遺族年金の受取可能額を算出
③ ①-②=死亡保険の保証額
①子供が就職するまでに必要な生活費・教育費を計算
死亡保険への加入を考える際に、最も重要なのが“自分に万一のことがあったときに家族にどのくらいお金を残す必要があるか”を把握することです。
よくシミュレーションで、年齢や家族構成などを入力するだけでおすすめの保証額が出てくるものがありますが、「本当にその保障額で足りているのか?」、逆に「保障額が過剰になりすぎて無駄に掛け金を払っていないか?」を理解せずにシミュレーション通りに保険に入るのは非常に危険です。
では、“家族にどのくらいお金を残す必要があるか”を把握するために具体的にどうするのかですが、下記の2項目を計算します。
[1]生活費
[2]教育費
※ここではあくまで”子供が0歳~22歳まで(大学部卒まで)の生活費・教育費が必要”という前提で解説します。
[1]生活費
まず、一般的な生後~高校性(0歳~18歳)までの生活費は下表の通りになっています。
年間生活費[円/年] | 年数[年] | 合計[円] | |
未就園児(0歳) | 753,351 | 1(※1) | 753,351 |
保育所・幼稚園児(1歳~6歳) | 763,177 | 6(※1) | 4,579,062 |
小学生(7歳~12歳) | 827,957 | 6 | 4,967,742 |
中学生(13歳~15歳) | 975,565 | 3 | 2,926,695 |
高校生(16歳~18歳) | 975,565(※2) | 3 | 2,926,695 |
総計 | ー | ー | 16,153,545 |
※2:高校生データがないため中学生のデータを代用
(出典):内閣府政策統括官(共生社会政策担当),「インターネットによる子育て費用に関する調査」,2010-03,(参照)2023-10-10
続いて、大学生~就職(19歳~22歳)までの生活費は下表の通りになっています。
年間生活費[円/年] | 年数[年] | 合計[円] | |
自宅 | 386500 | 4 | 1,546,000 |
学寮 | 834700 | 4 | 3,338,800 |
下宿・アパート | 1108400 | 4 | 4,433,600 |
平均 | 664300 | 4 | 2,657,200 |
大学生を下宿・アパート前提で、大学生までの生活費を計算すると、
16,153,545円(0歳~18歳) + 4,433,600円(19歳~22歳) = 20,587,145円 となります。
※大学生の生活費は、自宅/学寮/下宿などの想定があればそれに合わせて計算してください。
[2]教育費
次に、一般的な生後~高校生(0歳~18歳)までの教育費は下表の通りになっています。
年間教育費[円/年] | 年数[年] | 合計[円] | |
未就園児(0歳) | 89,874 | 1(※1) | 89,874 |
保育所・幼稚園児(1歳~6歳) | 453,370 | 6(※1) | 2,720,220 |
小学生(7歳~12歳) | 325,584 | 6 | 1,953,504 |
中学生(13歳~15歳) | 580,002 | 3 | 1,740,006 |
高校生(16歳~18歳) | 580,002(※2) | 3 | 1,740,006 |
総計 | ー | ー | 8,243,610 |
※2:高校生データがないため中学生のデータを代用
(出典):内閣府政策統括官(共生社会政策担当),「インターネットによる子育て費用に関する調査」,2010-03,(参照)2023-10-10
続いて、大学生~就職(19歳~22歳)までの教育費は下表の通りになっています。
年間学費[円/年] | 年数[年] | 合計[円] | |
国立 | 592000 | 4 | 2,368,000 |
公立 | 605000 | 4 | 2,420,000 |
私立 | 1310700 | 4 | 5,242,800 |
平均 | 1148700 | 4 | 4,594,800 |
大学生を私立前提で、大学生までの教育費を計算すると、
8,243,610円(0歳~18歳) + 5,242,800円(19歳~22歳) = 13,486,410円 となります。
※大学生の教育費は、国公立/私立の想定があればそれに合わせて計算してください。
ここまでをまとめると、0歳~22歳までの生活費と教育費をそれぞれ平均値で足すと、
20,587,145円(生活費) + 13,486,410円(教育費) = 34,073,555円になります。
②遺族年金の受取可能額を算出
「遺族年金って何?」という方もいると思いますのでざっくりと説明すると、国民年金または厚生年金に加入している方が亡くなった時に、その方に生計を維持されていた遺族が受け取れる年金です。
この「遺族年金」には、主に
[1]遺族基礎年金
[2]遺族厚生年金
の2種類があり、亡くなった方の年金加入状況や子供の数などによって受給額が変動します。
その他にも「寡婦加算」というものもありますが、これは18歳以下の子供がいない場合に受給資格が与えられるものなので、ここでは基本となる「遺族基礎年金」と「遺族厚生年金」の計算方法と例を紹介します。
[1]遺族基礎年金
まず、遺族基礎年金の受給資格と受給期間は下記の通りになります。
・受給資格:18歳以下の子供のいる配偶者またはその子供
・受給期間:子供が18歳になった年度の3月31日まで
次に本題の遺族基礎年金の計算方法ですが、下表の通りになります。
配偶者が受け取る場合
配偶者の年齢 | 受給額[円/年] |
昭和31年4月2日以後生まれ | 795,000+子供の加算額(※1) |
昭和31年4月1日以前生まれ | 792,600+子供の加算額(※1) |
3人目以降は1人につき各76,200[円/年]
(出典):日本年金機構,「遺族基礎年金の年金額(令和5年4月分から)」,2023-04-01,(参照)2023-10-14
子供が受け取る場合
受給額[円/年] |
795,000+2人目以降の子供の加算額(※2) |
4人目以降は1人につき各76,200[円/年」
(出典):日本年金機構,「遺族基礎年金の年金額(令和5年4月分から)」,2023-04-01,(参照)2023-10-14
[2]遺族厚生年金
まず、「遺族基礎年金」との大きな違いとして、「遺族厚生年金」は「厚生年金」に加入している方が亡くなった時に、その遺族が受け取れる年金です。
遺族厚生年金の受給資格と受給期間は下記の通りになります。
・受給資格:(1)18歳以下の子供のいる配偶者 / (2)18歳以下の子供 / (3)18歳以下の子供のいない配偶者(※1) / (4)父母(※2) / (5)18歳以下の孫 / (6)祖父母(※2)
※1:18歳以下の子供のいない夫の場合は55歳以上である方のみ受給可能。
※2:父母または祖父母は55歳以上である方のみ受給可能。
上記受給資格の優先度は(1) ⇒ (6)の順となっています。
・受給期間:
(1)妻の場合:30歳以上であれば生涯受給可能。30歳未満の場合、18歳以下の子供がいる場合は生涯受給可能ですが、18歳以下の子供がいない場合は5年間のみ受給可能。
(2)夫の場合:55歳以上であれば生涯受給可能(60歳から受給開始)。55歳未満は受給不可。
(3)子供、孫の場合:18歳になった年度の3月31日まで
(4)父母、祖父母の場合:55歳以上であれば生涯受給可能(60歳から受給開始)。55歳未満は受給不可。
次に遺族厚生年金の計算方法を説明しますが、正確な計算をしようとすると非常にややこしいため、ほとんど差異がない程度にざっくりとした計算方法を紹介します。その方法が下記になります。
平均標準報酬額(※1) × (5.481/1000) × 300ヵ月 × (3/4)
※1:厚生年金加入期間中の給与+賞与の総額を加入月数で割った額
(出典):日本年金機構,「遺族基礎年金の年金額(令和5年4月分から)」,2023-04-01,(参照)2023-10-14
[3]遺族年金の計算例
<35歳で平均年収450万円の夫を亡くした、29歳の妻と0歳の子供1人の場合>
・遺族基礎年金の計算:
0歳の子供が1人のため、
遺族基礎年金総額 = {(795,000[円/年] + 228,700[円/年]) × 18[年]} = 18,426,600[円] となります。
・遺族厚生年金の計算:
亡くなった夫の平均年収は450万円なので、22歳から働き始めて厚生年金に加入しているとすると、 平均標準報酬額 = 4,500,000[円/年] × 13[年] ÷ 156[月] = 375,000[円/月] となるので、遺族厚生年金の計算式に代入して計算すると、
遺族厚生年金総額(ここでは子供が大学卒業までとして計算)
= 375,000[円/月] × 5.481/1000 × 300[月] × 3/4 × 22[年] ≒ 10,174,106[円]となります。
遺族年金の総額は、18,426,600(遺族基礎年金) + 10,174,106(遺族厚生年金) = 28,600,706[円] となります。
③まとめ(① – ②)
最後に、本題である死亡保険の必要保障額の計算の説明になります。
①子供が22歳(大学卒業)までにかかる生活費・教育費 – ②遺族年金 = 必要保障額
①、②で例として算出した条件で必要保障額を計算すると、
必要保障額 = 34,073,555[円] – 28,600,706[円] = 5,472,849[円] となります。
このように実際に計算してみると、実は必要最低限ほ保障額は約550万円だけでよかったことが分かります。ここまで読んで頂いた方は、”あれ?シミュレーションでは1,000万や2,000万をおすすめされたのに,,,”と思う方もおられるかと思います。
ここで注意しておいてほしいのが、①~③の計算では子供が22歳になるまでにかかるお金に対する保証額を算出してるので、例えば奨学金等の借金がある方は借金額分の保証額をプラスαでかけておくべきです。
また、夫(妻)である自分がいなくなることで、残された妻(夫)は1人で育児をしないといけないため、当然収入が減ると考えられます。そのため、そうなった場合のパートナーの収入を想定し、パートナーの生活費の不足分の保証額をプラスαでかけておくのがベターです。
以上、死亡保険の保証額の決め方でした。この記事が少しでも皆さまのお役に立てれば幸いです。
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